2018年3月10日土曜日

食材の保存

 実はうちの店では、肉や魚を特殊な方法で保存しています。他の飲食店ではあまり聞いたことがないので、もしかすると当店のオリジナルな方法かもしれませんが、傷みの早い鶏肉ですら1か月近く保存していることもあります。え?大丈夫なの?という声が聞こえてきそうですが、大丈夫(ただし、真似する場合は自己責任で)なんです。さらに、旨味も増して、肉も柔らかくなるので、長持ちして美味しくなるという魔法のようないいことだらけの方法なんです。欠点は面倒くさいだけ(笑)というそのやり方を書いていこうと思います。

 では、最初に冷蔵庫の温度を0~-1度に設定します。まあ、この時点で一般家庭ではハードルが高いかもしれませんね。これは氷温と呼ばれ、細胞が凍らず、食中毒菌も繁殖しない温度です。家庭用の冷蔵庫でも氷温貯蔵付きのものもありますし、業務用では氷温庫がありますが、当店では冷蔵庫で代用しています。

 氷温の温度は食材によって若干の違いがありますし、氷温で繁殖する菌が全くない訳ではありませんが、とりあえずは、0~-1度でOKです。周りの気温や機械のバイアスによって1度だったり-2度が最適だったりしますが、そこは後で調整を。

 次に冷蔵庫に入る大きさで、できるだけ大きなタッパーを用意し水を張ります。

 そして、きっちり真空パックされた冷凍の肉ならそのままタッパーへドボン。きっちりパックされていないものなら、真空パックするか、サラダオイルで満たしたジップロックに入れて、タッパーへドボン。これでOKです。これは手軽で最強の解凍方法でもあるんです。肉でもマグロでも、この方法だとドリップをほとんど出さずに非常に速い時間で解凍できます。氷温解凍の理論については、ここでは割愛します。

 これをやると、恐らく数時間でドリップを出さずに大きなブロック肉なんかが解凍できていることでしょう。ちなみに、真空パックやジップロックの周りに氷ができているかと思いますが、氷を砕いて食材を取り出すときちんと解凍されているはずです。

 さて、このドボンした食材。いつまで放っておけると思いますか?肉の場合、氷温貯蔵&ウェットエイジング&酸化防止状態となっているので、余裕で2週間以上、もちろんそれ以上放っておけます。ドボンする前に塩でマリネやブラインした肉なんかだと、塩とサラダオイルの効果で、肉の繊維がほぐれ、置けば置くほど柔らかくなります。鶏肉の実験では、1か月半放置したこともありますが、臭みも腐敗も酸化もない、とろけるような柔からさの肉汁溢れる鶏のディアブロが出来ました。

 また、ウェットエイジング効果で多少は旨味も増すようですが、不凍タンパク質が分泌されて旨味が増すという説は、あまり裏付けもないため、まあエイジング効果については過度な期待はできません。

 そして、家庭用の真空パックは若干の酸素が残るため、肉の表面は酸化して黒ずんできますが、オイルパックなら酸化はしません。

 あと、そんなことするより、冷凍したままで、使う直前に解凍すればええやん、という声も聞こえてきそうですが、冷凍のままだと冷凍焼けしますし、さっと使うことができません。でも、氷温貯蔵の場合は、すぐにこまめに取り出して使えますし、肉質の向上にもなるので、冷凍のままよりは利点も多いかと思います。

 ちなみに、魚だと購入前の鮮度が分からず、他にも色々な諸条件があるため、この方法での保存はあきらめてください。ちなみに、魚の保存というより、熟成に関してですが、大阪の福島にあるう越貞(うおさだ)さんが至高ですので、そちらでご確認を。今までの魚の獲れたて神話が崩壊することで有名ですね。

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