和の出汁、仏ならブイヨン、伊ならブロード、中華なら清湯や白湯
大抵の国の料理では当たり前のように出汁をとります。
でも、インドなど南アジアでは、出汁は取らないことが多いですよね。
カレーも出汁を取るものもあれば、現地風に出汁を取らない
というカレー屋さんもあります。
ただ、これは取る取らないの二元論ではないんですよね。
味噌汁で考えてみましょう。
水に煮干しを放り込んで、適当な具材を入れてさっと煮て
味噌を加えて火を止めます。
煮干しは具材として食べてもいいし、取り除いてもOK。
味噌汁には十分なイノシン酸が出ていると思います。
イメージとしては、煮干しに残った旨味が50%だとすると
味噌汁に出た旨味が50%となります。
これは出汁を取ったことになるのでしょうか?
では、チキンカレーでは?
出汁を取らずにチキンを煮込んでつくった場合
チキンに残った旨味は40%、スープにでた旨味は60%
こんな感じでしょうか。
チキンは上記の味噌汁でいう煮干しに相当します。
では、これは出汁を取ってないことになるのでしょうか?
鶏を例にすると、フレンチやラーメンなんかだと
より素材の旨味を出すために、鶏を煮込んで残留する旨味を
限りなく0にして、旨味を搾り取った鶏は捨てたり
別の味付けをして食べたりします。
そして、そのスープに今度は、旨味を逃がさないよう短時間
または低温でじっくり加熱した鶏を具材をして加えたり
ダブルコンソメのようにさらに鶏から出汁を絞って
スープに旨味を追加したりします。
数値だとこんな感じでしょうか?
もちろん、煮込み時間などで大きく変動しますけどね。
よくある出汁を取らないチキンカレーの旨味
具材のチキン40%、スープ60%
出汁を取らないポトフの旨味
具材の野菜や肉40%、スープ60%
ダブルコンソメの旨味
スープ200%
鶏ラーメンやチキンスープの旨味
スープ100%、具材のチキン100%
ここから見えてくるのは、出汁を取る取らないではなくて
出汁を浅く取るか、深く取るかの違いがあるということですね。
結局、出汁を取らないといっても、具材からの出汁がなければ
料理として成立しない訳で。
ただ、一番よくないのは、チキンカレーやポークカレーで
煮込みすぎて、具材の旨味がスープに全放出されることです。
そうなると、具材のお肉はコラーゲンが多いと柔らかくジューシーなので
食感で旨味のなさを誤魔化せますが、赤身だとパサパサになって旨味も
何にもない、ただの物体を味付きのソースで食べるなんてことに。
まあ、原理主義でなく、自由に美味しいものをつくろうと思えば
つくる料理に最適な出汁の取り方をすればいい訳で
出汁を取る、取らないに、変にこだわることもないかと思います。
このブログ、わたしが店をやりながら、考えたりまとめたりしたことを書くという、備忘録的な意味合いが強いです。自分の整理のためと、少しでも似たような事考えている人にとって役に立てばいいなといった感じですね。なので、不特定多数の多くの人に見てもらって人を集めようとかそんな発想はありません。興味があって、同じようなテーマで色々研究している人だけ見ていただければそれで充分です。 まあ、気まぐれなので、どこでどう考えが変わるか分かりませんけどね・・・
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