2017年10月17日火曜日

和出汁の科学

少し前から流行り始めた出汁系のカレーですが、日本人には美味しく感じるのは当然でしょうか。きちんと取った出汁は本当に香り高く上品で雑味がなく美味しいですよね。

家庭では出汁の素を使っている所がほとんどだと思います。出汁の取り方って難しそうで…という方も多いんじゃないでしょうか。でも大丈夫!今回は、和食の基本中の基本、出汁の取り方について考えてみましょう。

まず、基本中の基本。昆布とかつお節を合わせる理由。昆布はグルタミン酸、かつお節はイノシン酸というそれぞれ違ううまみ成分を持っています。そして、うまみ成分は2つ以上合わさることで旨さが一気に増すんですね。

で、昆布も、かつお節も、科学的に最適な出汁の取り方について既に結論が出ています。ここではそれをおさらいしていきましょう。

まず、昆布。昆布にも色々な種類がありますが、迷ったら香りも旨味も強い羅臼昆布を使っておけばいいんじゃないでしょうか。

さて、その昆布。60度が一番グルタミン酸が抽出される温度で、80度を超えると抽出されなくなります。そして、30分を超えるとグルタミン酸の抽出も減少してくるので、60度で40~50分あたりで止めましょう。日本料理アカデミーでは60度1時間を推奨しているようです。分量は水に対して1%の昆布。なので、1Lの水だと10gの昆布ですね。なお、温度が高すぎたり、時間をかけすぎると、昆布のぬめりや臭みが出てきますので、ご注意を。

次にかつお節。こちらは、85度でもっともイノシン酸が抽出されます。しかし、香りの抽出は60度~70度ぐらいが適温で、85度だと香気成分が揮発してしまい、香りが弱くなります。なので、追いガツオをするんですね。85度で旨味を抽出し、かつお節を取り出した後、60度~70度で新たなかつお節を投入し、1分程度香りを抽出する。これで、旨味も香りも強いかつお出汁が取れます。

では、おさらい。

1.羅臼昆布の表面の汚れをふき取ります。なお、白い粉は残しておいてください。それはマンニトールといううまみ成分です。

2.お湯1Lを60度にして、10gの昆布を投入し、40分経ったら取り出します。はい、これはなかなか家ではできませんね。そんな場合は、温度計を刺してにらめっこするかAMAZONでANOVAをゲットしましょう。なお、当店ではチョコレートテンパリング用のウォーマーを使ってます。

3.昆布を取り出したお湯を85度まで上げて、かつお節を20g投入します。そして、だいたい5分ぐらいで沈みますので、そうなったら抽出完了の合図。かつお節を漉しま
しょう。漉すときは決して絞ってはいけません。煮すぎたり絞ったりすると、かつお節の乳酸が出てきてエグ味や酸味で台無しになってしまいます。

4.漉した出汁を冷まし、70度に下がったらそのまま火にかけずにかつお節を20g…いやいや、もっとたっぷりと倍の40gでも100gでも好きなだけ投入しましょう。その方が香りが強くなります。そして1分…量が多いなら30秒とか酸味が出ないよう調整してください。そうして、最後にまた漉します。

5.はい完成。科学に裏打ちされた美味しい合わせ出汁の完成です。色々な料理にお使いください。








0 件のコメント:

コメントを投稿

カレーと出汁の考察再び

 一般的にインドではカレーにわざわざ出汁を取るという工程はあまり見かけません。もちろん、地方や料理によってはその限りではないのですが。  お客様からよく、スパイスからカレーをつくったけど何か味が足りないという話を聞きます。そして、これも一般論ですが、味が足りない時は塩を入れま...