2017年8月22日火曜日

料理とエンジニアの関係

科学的に料理にアプローチする分子ガストロノミーについて聞いたことがある人も多いかと思います。エスプーマで食材を泡にしたり、オリーブオイルをイクラのように球状にしたりするアレです。
エルブジのフェラン・アドリアやイギリスのヘストン・ブルメンタールが有名ですね。日本でも大分浸透していて、関西だと菊乃井の村田さん達がリードする関西食文化研究会ってところで勉強会などが開催されています。

この分子ガストロノミー、元エンジニアの私にはピッタリと肌にあってるんですね。今の店舗では、チョコレートウォーマーを低温調理器としてフル活用してますし、エスプーマなんかも、日本でまだ亜酸化窒素が認可されていない時期に、海外から取り寄せて実験したりもしてました。まあ、大抵は実験で満足して中々アウトプットに至らないんですが。

そういえば、元マイクロソフトのCTOつまりNo2のネイサン・マイヤーボールドも科学的なとてつもない料理本を出してますが、技術者が料理にアプローチするとどうなるのかがすごく分かるんですね。勝手に同じカテゴリの人だとシンパシーを感じたり。もちろん、レベルは天と地の差ですが・・・

わたしは、エンジニアの本懐はものづくりだと思っていて、料理はまさにものづくりであり、そこでエンジニアの能力が大いに役立つと確信しています。

例えばトヨタでは車をつくるのに、大野耐一さんが音頭をとって、乾いたぞうきんをさらに絞るといわれるほど、改善を積み重ね、ジャストインタイムという時代をリードしたトヨタ生産方式を確立しました。

このように、ものづくりは、改善や生産革新の歴史です。10日で10万円かけて1つの商品ができたとします。それが、次の段階では、生産工程や部品、調達先の見直しなど色んな知恵を絞って3日で3万円で1つの商品をつくるということを繰り返してきました。

また、日本では昔から職人などの世界で守破離という概念があります。

第一段階 守:肉じゃがを教えられたレシピ通りに忠実に作る。
第二段階 破:教えられた肉じゃがをベースに、具材や調理工程を改善し、より早く簡単に美味しい料理を作る。
第三段階 離:今までの知識や経験をもとに、まったく新しい肉じゃがを作る。または、肉じゃがから進化した新しい料理を作る。

こう考えると、守の段階の人は圧倒的に多く、料理研究家の人たちは破の段階でお手軽レシピを考案し、一流シェフの人たちは離の段階で、新たな価値を生むことを目指し、日々料理をつくっています。

で、わたしは昔から守を疎かにして、すぐ破や離に向かうと怒られたりしました。今ならその通りだと思うのですが、当時のわたしにはあまり分かってなかったですね。てか、守の重要性を認識している今ですら、やっぱり苦手ですね。根っからの破や離のタイプなんでしょうか。

話は分子ガストロノミーに戻りますが、料理の再構築って言葉聞いたことありますか?

つまり、肉じゃがならそれを要素分解し、香りも食感も味もまさに肉じゃがなのに、見た目は高級フレンチ料理のような優雅さに仕上げるとか、そんなことをやるんです。もっと知りたい人はこちらをどうぞ。

例えばカレーづくり。
守のカレー屋さんはインドやスリランカの製法を尊重する、いわば原理主義的な料理で、わたしも大好きです。彼らは現地に行っては研鑽を積み、日本に持ち帰って提供してくれています。真似したいなと思うのですが、守が苦手なわたしには向いてないのかも知れません。

で、わたしが得意なのは、カレーの製法の抜本的見なおしなど。スターターっているの?テンパリングって最適解は?などなど、インドやスリランカの古代から受け継がれるレシピや日本式欧風カレーのレシピにかなり喧嘩を売ったりしています。負けたときは、ああ、やっぱり先人の知恵は偉大なんだなと思ったり、勝った時は、ほら見ろ、これはすごい発見だぞ、とひとりほくそ笑んだり。そんな繰り返しで料理しています。

そんなカレーの再構築についての考察は別途お話したいと思いますので、今回はこの辺で。




0 件のコメント:

コメントを投稿

カレーと出汁の考察再び

 一般的にインドではカレーにわざわざ出汁を取るという工程はあまり見かけません。もちろん、地方や料理によってはその限りではないのですが。  お客様からよく、スパイスからカレーをつくったけど何か味が足りないという話を聞きます。そして、これも一般論ですが、味が足りない時は塩を入れま...